江戸時代には、大きく2つの文化があります。元禄文化と化政文化といわれる文化で、これらはきちんと区別しなければなりません。
まず、元禄文化から。これは、5代将軍綱吉(生類憐みの令で有名です)の頃、上方(京都や大阪)を中心に栄えた文化です。言い換えれば、江戸前期の西の文化ということになります。
この元禄文化、受験で覚えるのはわずか4人だけ。文化というと、人物や作品などたくさん覚えなければならないような気もしますが、たった4人なら気持ちも楽になります。
①井原西鶴(小説家)
西鶴は浮世草子という庶民の生活を書いた作品で有名です。今でいうところの小説家、恋愛だったりお金にまつわる失敗だったりと、テーマは今も昔も変わりません。
②近松門左衛門(脚本家)
近松は歌舞伎や人形浄瑠璃(じょうるり)の脚本家。浄瑠璃というのは劇のこと、つまり、人形劇のストーリーやセリフを考えるお仕事です。私が幼かった頃は、NHKの教育テレビでよく人形劇が放映されていたのでイメージはつきましたが、最近ではそういった番組は減ってしまっているようです。とは言ったものの、子ども向けのようなかわいいお人形ではなく、少し不気味にも感じられる日本人形を使っています。ストーリーも2つの義理人情の板挟みにあい心中してしまったり、中国の復興を目指す話だったりと、大人向け。しかし、今のようにネットやゲームといった娯楽のない時代ですから、多く親しまれていたようです。
③松尾芭蕉(俳諧)
言うまでもない芭蕉はもちろん俳句。こちらは『奥の細道』というタイトル名まで覚えておく必要があります。
④菱川師宣(絵師)
①〜③に比べてインパクトにかける師宣、その分狙われやすくなっていますので、作品『見返り美人図』にも目を通しておきましょう。
私が小学生の頃は、西鶴と近松の違いが、見た目以外分かりませんでした。上にも書きましたが、違いは小説家と脚本家。小説家は村上春樹や東野圭吾など、名前はよく知られますが、脚本家はドラマ好きでもない限り、なかなか名前までは知らないでしょう。そういう意味では、西鶴の方がインパクトがあるようにも思えます。
さて、ここからは化政文化ですが、こちらはあっさりまとめます。これには大きな意味があるので、まずは下をさらっと確認してみてください。
化政文化…江戸後期、江戸で栄えた文化
<文学>
・十返舎一九…『東海道中膝栗毛』
・滝沢馬琴…『南総里見八犬伝』
・ 小林一茶…俳句
<絵画>
・歌川(安藤)広重…『東海道五十三次』
・葛飾北斎…『富嶽三十六景』
以上が化政文化です。元禄文化に比べてあえて、味気なくまとめてみました。
文化史は、考えて解く応用的な出題ではなく、単純な暗記の問題です。その際の出題は作品名や人物名を解答する場合以外に、元禄文化に位置するか、化政文化に位置するかという出題が考えられます。例えば、
問、次のうち、上方を中心に栄えた文化に関係するものを全て選びなさい。
ア.奥の細道 イ.葛飾北斎 ウ.滝沢馬琴 エ.東海道中膝栗毛 オ. 近松門左衛門 カ.見返り美人図
このような出題は基本的に完答です。つまり、1つでも間違えれば0点となります。
では、どうやって考えればいいのか?それは、暗記の段階に秘密があります。
A・Bという2つのグループを覚えなければならないとき、普通はAグループ、Bグループそれぞれを覚えようとします。しかし、実はこの必要はありません。「ABの両方を覚える」と考えるのではなく、「Aを覚えれば、必然的に残りはBになる」という考え方を利用すればいいのです。
これを今回の元禄、化政文化に当てはめると、「元禄文化を覚え、化政文化を覚える」のではなく、「元禄文化を覚えれば、残りが化政文化」ということになります。つまり、元禄文化に出てくる「井原西鶴・近松門左衛門・松尾芭蕉・菱川師宣」それぞれの人物名と作品さえ覚えておけばOKになるわけです。
上で、元禄文化については文章つきで、化政文化について箇条書きでさらっとまとめたのもこうした理由があります。元禄文化というAグループを覚えるため、詳しく説明することでインパクトを残し、
逆に化政文化についてはさらっとまとめることにより、あえて脳内に残しすぎないという目的のもと、こうした書き方をしました(暗記法については【歴史】元号暗記や語呂合わせは必要?不要?をごらんください)。
これは、暗記の負担軽減にもつながります。ただでさえ、膨大な量を覚えなければならない社会科ですから、覚えるべきことと、そうでないことを区別する必要があります。従って、両方を一生懸命覚えようとせず、少しでも勉強を楽にするためにも有効です。
注意が必要なのは、まず「いずれも江戸時代の文化であること」は覚えておかなくてはなりません。あくまで暗記負担の軽減なので、もちろんAB両方を完璧に覚えるに越したことはありません。「そこまでやらなくても対応は出来うる」というにとどまることには注意が必要です。
この学習は、多くの学習に利用できます。「酸性とアルカリ性」や「単子葉類と双子葉類」 等、理科にも使うことができます。私は理科の指導はしていませんが、こうした勉強法を指導することはできます。しかし、学校や塾を見ていると、こういった「覚え方」を指導している方は少ないように思えます。塾や家庭教師を決める際は、こうした勉強法について尋ねてみるのも決め手の1つかもしれません。
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まず、元禄文化から。これは、5代将軍綱吉(生類憐みの令で有名です)の頃、上方(京都や大阪)を中心に栄えた文化です。言い換えれば、江戸前期の西の文化ということになります。
この元禄文化、受験で覚えるのはわずか4人だけ。文化というと、人物や作品などたくさん覚えなければならないような気もしますが、たった4人なら気持ちも楽になります。
①井原西鶴(小説家)
西鶴は浮世草子という庶民の生活を書いた作品で有名です。今でいうところの小説家、恋愛だったりお金にまつわる失敗だったりと、テーマは今も昔も変わりません。
②近松門左衛門(脚本家)
近松は歌舞伎や人形浄瑠璃(じょうるり)の脚本家。浄瑠璃というのは劇のこと、つまり、人形劇のストーリーやセリフを考えるお仕事です。私が幼かった頃は、NHKの教育テレビでよく人形劇が放映されていたのでイメージはつきましたが、最近ではそういった番組は減ってしまっているようです。とは言ったものの、子ども向けのようなかわいいお人形ではなく、少し不気味にも感じられる日本人形を使っています。ストーリーも2つの義理人情の板挟みにあい心中してしまったり、中国の復興を目指す話だったりと、大人向け。しかし、今のようにネットやゲームといった娯楽のない時代ですから、多く親しまれていたようです。
③松尾芭蕉(俳諧)
言うまでもない芭蕉はもちろん俳句。こちらは『奥の細道』というタイトル名まで覚えておく必要があります。
④菱川師宣(絵師)
①〜③に比べてインパクトにかける師宣、その分狙われやすくなっていますので、作品『見返り美人図』にも目を通しておきましょう。
私が小学生の頃は、西鶴と近松の違いが、見た目以外分かりませんでした。上にも書きましたが、違いは小説家と脚本家。小説家は村上春樹や東野圭吾など、名前はよく知られますが、脚本家はドラマ好きでもない限り、なかなか名前までは知らないでしょう。そういう意味では、西鶴の方がインパクトがあるようにも思えます。
さて、ここからは化政文化ですが、こちらはあっさりまとめます。これには大きな意味があるので、まずは下をさらっと確認してみてください。
化政文化…江戸後期、江戸で栄えた文化
<文学>
・十返舎一九…『東海道中膝栗毛』
・滝沢馬琴…『南総里見八犬伝』
・ 小林一茶…俳句
<絵画>
・歌川(安藤)広重…『東海道五十三次』
・葛飾北斎…『富嶽三十六景』
以上が化政文化です。元禄文化に比べてあえて、味気なくまとめてみました。
文化史は、考えて解く応用的な出題ではなく、単純な暗記の問題です。その際の出題は作品名や人物名を解答する場合以外に、元禄文化に位置するか、化政文化に位置するかという出題が考えられます。例えば、
問、次のうち、上方を中心に栄えた文化に関係するものを全て選びなさい。
ア.奥の細道 イ.葛飾北斎 ウ.滝沢馬琴 エ.東海道中膝栗毛 オ. 近松門左衛門 カ.見返り美人図
このような出題は基本的に完答です。つまり、1つでも間違えれば0点となります。
では、どうやって考えればいいのか?それは、暗記の段階に秘密があります。
A・Bという2つのグループを覚えなければならないとき、普通はAグループ、Bグループそれぞれを覚えようとします。しかし、実はこの必要はありません。「ABの両方を覚える」と考えるのではなく、「Aを覚えれば、必然的に残りはBになる」という考え方を利用すればいいのです。
これを今回の元禄、化政文化に当てはめると、「元禄文化を覚え、化政文化を覚える」のではなく、「元禄文化を覚えれば、残りが化政文化」ということになります。つまり、元禄文化に出てくる「井原西鶴・近松門左衛門・松尾芭蕉・菱川師宣」それぞれの人物名と作品さえ覚えておけばOKになるわけです。
上で、元禄文化については文章つきで、化政文化について箇条書きでさらっとまとめたのもこうした理由があります。元禄文化というAグループを覚えるため、詳しく説明することでインパクトを残し、
逆に化政文化についてはさらっとまとめることにより、あえて脳内に残しすぎないという目的のもと、こうした書き方をしました(暗記法については【歴史】元号暗記や語呂合わせは必要?不要?をごらんください)。
これは、暗記の負担軽減にもつながります。ただでさえ、膨大な量を覚えなければならない社会科ですから、覚えるべきことと、そうでないことを区別する必要があります。従って、両方を一生懸命覚えようとせず、少しでも勉強を楽にするためにも有効です。
注意が必要なのは、まず「いずれも江戸時代の文化であること」は覚えておかなくてはなりません。あくまで暗記負担の軽減なので、もちろんAB両方を完璧に覚えるに越したことはありません。「そこまでやらなくても対応は出来うる」というにとどまることには注意が必要です。
この学習は、多くの学習に利用できます。「酸性とアルカリ性」や「単子葉類と双子葉類」 等、理科にも使うことができます。私は理科の指導はしていませんが、こうした勉強法を指導することはできます。しかし、学校や塾を見ていると、こういった「覚え方」を指導している方は少ないように思えます。塾や家庭教師を決める際は、こうした勉強法について尋ねてみるのも決め手の1つかもしれません。
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